最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)10 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
論旨第一、第二点について。
論旨は違憲をいうが、実質上判断遺脱を主張するに帰し違憲の主張と認められな
い。そして、記録を精査しても上告人が自己の為した強制執行の基本たる債務名義
自体の無効を自ら主張していたものと認むべき事迹は顕われて居ないから、これを
前提とする判断遺脱の論旨は理由がない。又、原審は須見すみが将来係争の家屋を
被上告人等に賃貸すべく右債務名義表示の家屋明渡請求権はその満足を受けないこ
ととする旨の合意を被上告人等と結び更にその後これを確認した事実等を認定し右
合意を有効と判断していること原判決の行文に照し明らかであつて、この点につき
所論の如き判断遺脱の違法あることなく、更に原審認定に係る事実関係の下におい
ては原審が民法九四条を適用しなかつたことの相当であることを肯認し得られるの
であつて、以上諸点に関する論旨はすべて理由がない。
論旨第三点について。
論旨は、民訴一八五条違背をいうが、原審の所論事実認定が被上告人等の主張し
ていたところにほかならないことは、記録就中二丁、三九丁、四二丁、四五丁等の
記載に徴し明らかに認め得られるのであつて、この点につき所論違法ありと為し難
く、更に須見すみが前記合意を確認した日時場所の如きは原審がこれを確定せざる
べからざる筋合でないこと記録上も明らかであつて、この点につき所論理由不備の
違法もなく、論旨はいずれも理由がない。
論旨第四、第五点について。
論旨は、原審認定に係る合意の効力を争い、大審院判例違背を主張するが、原審
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が所論の如き単なる債務名義不利用の合意のみを認定したものでなく、係争の認諾
調書の確定する実体上の権利関係に触れ係争家屋の賃貸借関係についても合意の為
された事実を認定しているものであること原判決に明らかであつて、所論はその前
提においてすでに失当たるを免れないのみならず、原審認定に係る事実関係の下に
おいては、原審が右合意の効力を認めたことの相当であることを肯認するに足り、
しかもその趣意の所論大審院大正一五年二月二四日判決の判示にいささかも牴触す
るものでないことを認め得られるから、論旨は到底採用し得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 小 林 俊 三
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 本 村 善 太 郎
裁判官 垂 水 克 己
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